クリスマスイブ……多くのカップルたちが、お互いの愛を確かめ合いほんのひとときの幸せな時間を過ごす夜。
はじまりは、そんな聖なる夜に起きた。
これから幸せの時間を共有するはずであった彼女との突然の別れ。
部屋に残された、彼女の服。
本当に小さな衝動でしかなかった。
それまで、こんな事は考えもしなかったし、考えても、ちょっとした軽い考えのはずだった。
ずっとそのはずだった。
「この服を着てみたい…」――しかし、それだけでは衝動はおさまらなかった。
「この服を着て、外に出てみたい」「もっと似合う服がほしい」「もっと綺麗になりたい」あふれてくる自分の中の少女のこころ。
社会に認められないがための苦しみ。
人々の冷たい視線が少女のこころを男と女の間で揺れ動かす。
――――「もっと綺麗になればいいの？」

大学入学と同時に親元を離れ、幼馴染の“瑞樹（男性）”とふたり暮しを始めた“葉月忍（男性：主人公）”。
引越しの最中、瑞樹の荷物の中から、大量の女性物の服や化粧品を見つけてしまった忍は、そのことを瑞樹に問いただしてみると、彼には女装の趣味があるという。
そして、瑞樹に誘われ、女装の世界を体験することになった忍は、最初は戸惑いを感じつつも、いつしか、女装する快感に目覚めていく。
そして、「男」と「女」の二重生活のなかで、徐々に男女の性についても曖昧になり……。