『貴方にメイドを預けます――』その一本の電話で、再生請負人 新津秋人の一年が決まった。
時代は、高度成長を成し遂げた、ちょっと豊かな物質社会。
人々の心に生まれたゆとり。
それはよりよい生活のために、あるものを求めた。
――メイドである。
家に帰れば、出迎えてくれる人が居る。
たわいも無いその日の出来事を、笑顔で聞いてくれる人が居る。
そんな生活を誰もが忘れ、欲していた。
メイド産業は着々と市民権を得て、日常へと浸透し始めていた……そんな時代のお話。
保留にした答えを決めるために、秋人は坂を上っていた。
目的地は、長く緩やかな道の先にある小さな学園。
街の人々には『メイドの学び舎』などと呼ばれ、親しまれている場所――そして、立派なメイドになることを夢見る少女たちが集う園である。
『今回、再生していただきたいものは、5人の少女です』秋人を出迎えた電話の主――『彩辺 紫』はそう言った。
聞けば、それは落ちこぼれ中の落ちこぼれだと言う。
問題児の5人を集め、秋人の前で行われる再々々追試……これに落ちれば『落ちこぼれ決定』という本当の崖っぷち。
そして、メイドたちの試験結果は散々なものだった――足りないのは基礎か、技術か？ 常識か？ はたまた奉仕の心か？――もしくは、その全てか。
思わず頭を抱えた秋人がぼやく。
『こいつらの面倒を俺が？』 どうして自分がと思う秋人に、紫はだからこそと言う。
『学園内の人間でもお手上げなのです』『……まあ、仕事なら請けるけどな』『それでは決まりということで？』『ああ、分かった。
あの4人は受け持とう』『4人……とは？』『とぼけるなよ。
あの中の1人は演技だろ？』『……さすが再生請負人ですね。
気付きましたか』『俺をテストしたのか？ 趣味が悪いな』『万全を期したまでです。
そしてあなたは優秀だと判断しました』『そりゃどうも』そして、秋人は4人のメイドを預かることになった。
条件は以下の通り――1．期間は一年間。
2．目的は全員を卒業試験にパスさせること。
3．再生方法は請負人に全任する。
『それで、報酬は金だけじゃないんだろ？』『それは、あなた次第です』――こうして、秋人とメイドたちの騒がしい1年が始まった――

■□■ストーリー■□■『貴方にメイドを預けます──』その一本の電話で、再生請負人 新津秋人の一年が決まった。
向かう先は、長く緩やかな道の先にある学園。
街の人々には『メイドの学び舎』などと呼ばれ、親しまれている場所──そして、立派なメイドになることを夢見る少女たちが集う場所である。
『こいつらの面倒を俺が？』彼が請け負うのは4人のメイドたち。
一人は、不運の星の元に生まれついたお嬢様。
一人は、高慢ちきで反抗的な姐御肌。
一人は、自分は護衛だと言い張る、的外れな無表情。
一人は、歩くトラブルと称される、純真無垢な台風の目。
揃いも揃った問題児たち。
その問題児の4人（+α）を集め、秋人の前で行われる再々々追試……。
そして散々な結果──足りないものは基礎か、技術か？ 常識か？ はたまた奉仕の心か？──もしくは、その全てなのか。
この“おちこぼれ”たメイドたちを“全員無事に卒業させる”こと。
それが秋人に与えられた責務。
──こうして、秋人とメイドたちの騒がしい一年が始まった──■□■登場キャラクター■□■【不運極致のお嬢様】●フィリネ・レイヤード （CV：中瀬ひな）お嬢様にお嬢様を塗り重ねた、正真正銘のお嬢様。
生まれながらの気品がある。
自分がお嬢様に生まれたことで、幸運を全部つかっちゃったと思っている少女。
閏日生まれなので、四年に一度しか誕生日が来ない。
進学はお嬢様学校の予定が、持ち前の不幸が重なりこの学園へ。
本人は現状を自分が成長する良い機会だと思っている。
【視野狭窄の姐御】●ライラ・フェンディ （CV：藤森ゆき奈）素直じゃないけど、甘えたがり。
寂しいけど、寂しいとは言えない。
色々な二律背反を持っている。
家が貧乏で、とある富豪の屋敷に入ることで家計を助けようとしている。
兄弟がたくさんいる。
下町育ちのせいか、すぐに手が出る。
表面には出さないが仲間思いで、秋人のことを敵対視している。
【興味皆無の護り手】●中立売 白羽 （CV：水鏡）芯のある人間。
無口で落ち着いた雰囲気がある。
だが給仕の仕事は苦手。
プライドが高い。
完璧主義者。
とある富豪に、雇われることが決まっている。
ただのメイドではなく、兼業でボディーガードをする。
ボディーガードの実力はあるが、メイド面と精神面が未熟。
欠点を直すために学園へ。
【絶対前向きのドジっ娘】●彩辺 朱里 （CV：草柳順子）いつでも前向き。
ドジばかりだが、周りを和ませる柔らかさを持っている。
姉の紫を人間としても、メイドとしても尊敬しており、姉のような立派な人間になるべく、日々努力している。
頑張っても空回ることが多い。
すぐにいじけるイジケ虫。
甘えん坊で、信じた人間には無条件で尻尾を振る。
犬型ドジっ娘。
【完全無欠の滅私奉公人】●彩辺 紫 （CV：鳩野比奈）目的のためには手段を選ばない。
見習いメイドたちにとっては、メイドの鑑。
学園の理事長補佐であり、メイド長。
実権を握るNO.2。
この学園の第一期卒業生でもある。
【厚顔無恥のトリックスター】●ユニス （CV：神村ひな）意外に常識人だが、精神的に子どもなので結果を読めない。
刹那的に衝動で動いている。
表裏の使い分けが激しい。
メイド界の名門一族の末娘。
類まれな才能と運を持ち合わせていながら、何の間違いか不幸なお嬢様フィリネにはまる。
フィリネのそばに居たくて、わざと落ちこぼれの振りをしていたが、秋人に見破られる。
【無邪気な邪悪たち。
】●マコ＆ミコ （CV：成瀬未亜）ユニスの取り巻きの双子。
一見、出来なさそうに見えるが実は結構メイド能力は高い。
【唯我独尊の奇才】●西園寺 小次郎太 （CV：間寺司）能力は高く、メイド長とはその実力を認め合う仲。
でもオカマ。
地位も名誉もすべて手に入れ、何もかもがむなしくなって、世捨て人となっていた。
下町のクリーニング屋で働いていたところを、理事長に発掘され、学園の講師として誘われる。